カザト マリ
  風戸 真理   短期大学部 生活創造学科   専任講師
■ 標題
  モンゴル遊牧民候補は夏につくられる
■ 概要
  モンゴルの近代化は都市化に特徴づけられ、統計は、20世紀以降にモンゴルの人口が増加し、草原から都市へ人口が移動してきたことを示している。本研究は、年長世代と比べて若い世代が都市でより長く暮していること、草原の遊牧民が就職・就労・退職を機に都市生活に移ってきたことを明らかにし、モンゴル社会のマクロな変化の実態を実証的に示した。
本研究の人類学的な貢献は、個人に視点をおくことで、統計には表れない、モンゴル人の生き方にかかわる二つの事実をすくいあげたことにある。すなわち、第一に、モンゴルの人びとは昔も今も、夏になると草原の年長者のもとに集まり、地縁・血縁関係でつながる多くの人びととともに牧畜にたずさわっていた。第二に、都市の労働者・学生が、退職や就労を契機として牧畜セクターに移るという動きが複数の世代においてみられた。夏に、牧畜という生業と草原の社会関係に親しんだ経験があってこそ、彼らは人生の節目に牧畜を選択することが可能になったのだと考えられる。
   単著   生態人類学会ニュースレター   生態人類学会   第20号   pp.42-49   2014/07