カザト マリ
  風戸 真理   短期大学部 生活創造学科   専任講師
■ 標題
  現代モンゴルにおける贈与—ゲルとそのバイオグラフィーより
■ 概要
  モンゴル国における贈与の概要と、とくに親から子へ贈与されるゲルが変工・部品交換・販売・処分されるプロセスを記述し、モンゴル社会における贈与と商品、贈与可能性と不可能性のあり方を検討した。
ゲルは商品として生産され、親から息子へと結婚にさいして贈与される。ゲルは日常生活用品であり、消耗品である。若いカップルは自身のゲルに変工や部品交換をほどこし、生活のなかでこれを販売することもあった。そのなかで、長持ちした部品は家族の歴史と結びついた記号となることがあり、ゲルの部品と全体は商品と贈与の間を行き来しているといえる。
以上から、贈与と商品とは混ざりあい、譲渡可能性と譲渡不可能性はもつれあっているといえる。また、従来の研究では聖物が社会の係留点として譲渡不可能なモノとなるといわれてきたが、ゲルの事例からは、消耗品であっても家族の小規模な歴史を担う記号として譲渡不可能な領域に配置されることが示された。
   共著   贈与論再考—人間はなぜ他者に与えるのか—   臨川書店   pp.238-260   2016/07