カザト マリ
  風戸 真理   短期大学部 生活創造学科   専任講師
■ 標題
  結論―国家規模あるいはグローバルな流通にみるモンゴルの文化的指向性―
■ 概要
  風戸真理・尾崎孝宏・高倉浩樹共編(2016)『モンゴル牧畜社会をめぐるモノの生産・流通・消費』東北大学東北アジア研究センター、のあとがきの結論である。本書の目的は、主としてモンゴル国と中国内モンゴルにまたがって暮らすモンゴル系の人びとの経済活動、とくに牧畜の文化に根ざしたモノである畜産物の生産・流通・消費に着眼して、モンゴル高原地域における物流システムの特徴とその変化を、国家の体制およびグローバルな経済システムとの関係のなかで検討することにあった。
 5本の論文を通して本書が明らかにしたことを以下のようにまとめた。まず、モンゴルにおいては基本的に、時代を下るにつれて流通の対象となる畜産物の種類が増加し、またモンゴルへ流入する物資の品目数および絶対量が増加している傾向が見られる。またこの増加プロセスは、社会主義体制の導入や市場経済の浸透などといったイベントを画期として、非連続的な変化を遂げてきた。ただしモンゴル国における家畜(生体および肉)はその例外にあたる。社会主義期には輸出産品であった肉が、1990 年代以降の市場経済の浸透と入れ替わるように流通の国内化が進行する。 
 また本書の成果として、モンゴルにおける「グローバリゼーション」の展開にみられる特徴を挙げることができるだろう。まず貨幣、あるいは広域的な流通による影響を大きく受ける領域と、あまり変化しない領域が存在する点である。さらにいえば、モンゴルの生産・消費・流通のあり方からは、モンゴル人がグローバルな/新しいテクノロジーを積極的に受け入れて、これを彼らなりのやり方で使いこなしてきたことがわかる。ただし、彼らがテクノロジーや動力機械を取りいれるやり方には、伝統とテクノロジーを併用し、両者を併存させるような器用仕事的な側面がみられた。
   共著   モンゴル牧畜社会をめぐるモノの生産・流通・消費   東北大学東北アジア研究センター   東北アジア研究センター叢書 第58号   pp.161-169   2016/12