カザト マリ
  風戸 真理   短期大学部 生活創造学科   専任講師
■ 標題
  身体装飾をめぐる子ども・大人・社会の交渉
■ 概要
  本論では、装い(ドレス)の中でもとくに装飾機能の強い身体装飾に焦点を当て、日本の女性の子どもがおこなう身体装飾の時間変化、その過程で直面する葛藤、そしてやがて大人になった女性の身体装飾と社会の関係を記述した。その上で、身体装飾に関する子ども・大人・社会の交渉と、審美性をめぐる規範・流行・便宜について考察した。なお身体装飾は、アクセサリーの着用、身体彩色(化粧)、身体変工(ピアス、タトゥーなど)の3 つに分類した。
 結果としては、第一に、現代日本の子どもの身体装飾は学校という制度の中で、化粧を端緒として開始されていた。そこでは審美性や娯楽性とともに、校則への抵抗、教師との交渉、仲間との同調や差異化などの社会関係が重視されていた。第二に、身体装飾は学校・アルバイト・就職活動・親との関係において抑制されていた。とくに身体変工をめぐっては、外的な抑制、内的な抑制、身体的な困難が葛藤要因となっていた。第三に、大人の身体装飾と社会との関係については、流行歌の歌詞を分析した結果、最も日本社会に親和的なのは身体彩色であったが、ピアスやタトゥーに関しても豊かな表現が見られた。アクセサリーを外す行為は私的な親密さを帯びた身体の出現を示し、装身具には公私をスイッチングする道具としての機能が認められた。
 審美性の観点から、身体装飾をめぐる規範・流行・便宜の関係について検討すると次のことがいえるだろう。人びとは環境とのすり合わせにより社会適応的な装身の輪郭を探り、その範囲内で他者との差異化を図ったり、流行に同調したりすることをおしゃれとして楽しんでいた。また、身体変工には逸脱を含む多様な意味づけがなされていたが、身体の審美的価値を効率的に高めるために、身体変工の実利性、便宜性が評価される側面もみいだされた。
   単著   コンタクト・ゾーン   京都大学大学院人間・環境学研究科   pp.347-366   2017/12