ミヤザキ ヤスシ
  宮崎 靖士   社会福祉学部 共通部門   教授
■ 標題
  金史良の日本語文学作品における「差異」の表象をめぐって ―「内鮮一体」期における朝鮮知識人の現実変革の試みとして―
■ 概要
  本論では、金史良が1941年初頭までに発表した日本語文学作品に認められる表象傾向と、その問題点、およびそれ以降の展開の方向性を明らかにすることを目的とした。具体的には、『光の中に』と『天馬』に共通する、主人公の自己認識のなかで、朝鮮と日本とが自身のアイデンティティとして均等な比重を占めるに至る点に注目し、しかしそのような傾向が日本と朝鮮の間の力関係を再強化する危険性を保持することを指摘した。そこで更に『光冥』を検討すると、朝鮮人女中である「とよ」の動向が、朝鮮人を均質なものとして表象することを回避し、朝鮮と日本を拮抗する二項として成立させる一般概念を用意しない形で、朝鮮のアイデンティティを確保しようとする新たな表象傾向の端緒であることが理解できた。
   単著   比較文学   日本比較文学会   第52巻   pp.65,79   2010/03