ミヤザキ ヤスシ
  宮崎 靖士   社会福祉学部 共通部門   教授
■ 標題
  太宰治『雀こ』におけるコミュニケーション・モードの模索―昭和一〇年前後における「別々の物」をめぐる表象の戦略―
■ 概要
  本論では、読解に関する一定の枠組と方向性への誘導を用意しつつ、しかし特定の解釈には収束させない傾向を『雀こ』がもつ内容面の特質として明らかにした。それは、テキストの「内」(=ストーリー・プロット)における傾向、および「外」(=同時代状況)との関わり方、そしてテキストを媒介とする書き手と読み手の関係性という三つの面から共通して認められるものである。そのような『雀こ』の傾向は、書き手と読み手が均質的な立場性や価値観を共有しないことを前提とした上での、昭和一〇年前後における文学的テキストをめぐるコミュニケーション・モードの模索として意義付けられる。
   単著   日本文学   日本文学協会   第59巻4号   pp.55,65   2010/04