ミヤザキ ヤスシ
  宮崎 靖士   社会福祉学部 共通部門   教授
■ 標題
  龍瑛宗の日本語文学作品における表象傾向と、その変化をめぐって
― 一九三九~四三年を対象として―
■ 概要
  本論では、龍瑛宗が一九三九~四三年の期間に発表した日本語文学作品のうち特に小説を検討の対象とし、その表象傾向を明らかにするとともに、それが同時代状況の中でもち得た立ち位置を論じた。その表象傾向とは、第一に、語り手や主人公における「観念化」そのものに比重を置いた物語構成を特色とするものから始まり、第二には、零落する主人公や特定の人物を描くことを特色とするものになり、第三には、逆境の中で自己を保つ人物が何かを得ていく点を特色とするに至るものであった。そのような変化は、台湾社会において創られるべき文化やアイデンティティに関する新しい時代状況が生じるタイミングでなされており、その結果、件の表象傾向は、時流を支持し促進する方向性と、それを相対的かつ批評的にとらえ得る方向性の双方を保つ点が注目された。そのような表象傾向が同時代状況の中で占めていた立ち位置は、時流に対する両義的な地点として見定められる。
   単著   日本近代文学会北海道支部会報   日本近代文学会北海道支部   第19号   pp.30-45   2016/05