サイトウ サヨ
  斎藤 彩世   文学部 英文学科   専任講師
■ 標題
  Henry Jamesの “The Romance of Certain Old Clothes” における姉妹の葛藤
■ 概要
  「古衣装のロマンス」はヘンリー・ジェイムズが若いときに書いた短編幽霊物語である。のちにジェイムズは多くの幽霊物語を書くが、実際にはそれらは心理小説と呼べるもので、幽霊は実在するものではなく見た者の幻覚として扱われている。一方、「古衣装」では「幽霊の手」が現れヒロインを殺すので明らかに幽霊が現れており、心理描写の名手である作者の技術を生かしたものではないとされ、軽視されてきた。ところが本作品の3人称の語りにはロザリンドという女性の視点から見た主観的な声が混ざっており、彼女が見た「幽霊の手」は彼女の罪悪感を表すものだと解釈できる。本論ではジェイムズの心理的リアリズムの萌芽がこの短編に見られることを明らかにした。
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   単著   『九大英文学』   九州大学大学院 英語学・英文学研究室   51号   pp.37-57   2009/03