シノダ ユウ
  篠田 優   経済学部 経済法学科   教授
■ 標題
  社会体制と社会権の関係についての覚書
■ 概要
  社会権と社会体制の関係について考察し、次のような結論に到達した。
① 社会権とは、価値法則を抑制・排除することによって「人間の名に値する生活」を守る権利である。
② 社会主義にあっても価値法則は作用するから、社会主義においても社会権はその存立根拠を失わない。
③ 価値法則の作用という点に着目すると、資本主義も社会主義も「価値法則時代」という同一の時代に属し、同一時代の内部段階と考えられる。
④ 社会主義は、生産手段を社会化するから、社会主義社会の市民の基点的権利は「生産手段に自らの労働を結び付ける権利」であり、この権利を含みこの権利のコロラリーとしての諸権利の総体を社会権と呼ぶなら、社会主義社会の権利体系において社会権はその中核的地位を占める。
⑤ 他方、社会主義の自由権は、自由行使の物質的条件が社会化される限りで、社会権化する。その意味で、社会主義では社会権が自由権を侵食し、その分自由権が死滅する。
⑥ 社会権の機能、存立根拠は、資本主義・社会主義双方に共通であるから、脱社会主義後の資本主義社会において、社会主義時代の社会権は単なる否定の対象ではなく、社会権の内容および社会権に基づく政策展開に、社会主義時代の社会権は理論的にも政治的にも一定の影響を及ぼす。
   単著   北星学園大学経済学部北星論集   北星学園大学   52巻2号   pp.69-93   2013/03