オオハラ マサアキ
  大原 昌明   経済学部 経営情報学科   教授
■ 標題
  中国における日式簿記の導入と展開
■ 概要
  中国人を対象とした日本語・IT人材育成のための学校として2005年1月に設立された泰克現代教育(大連)有限公司(TAC大連)は、財務BPO(Business Process Outsourcing)に関するビジネススキルのひとつとして、おもに中国人学生や日系企業に勤務する中国人従業員を対象に、2011年12月から7回にわたって日商簿記3級程度の簿記認定試験を実施した。また、2012年11月には、中国で初めて上海において全国経理教育協会(全経)主催簿記能力検定(全経簿記検定)が実施された。これは日本と同じ試験問題、試験時間で、中国における簿記学習者を対象とした日本語による簿記検定である。
 このような動きの中で、大連外国語大学日本語学院で2014年2月末から「日本式の簿記」教育がスタートした。2016-2017年度(2016年8月~2017年7月)までで7期を経過し(1期は半年)、これまで300名を超える学生が履修した。日本語を専攻する学生に対する日本式の簿記教育のねらいは、日系企業が日本式の簿記能力を持つ人材を求めていることへの対応とともに、日本語能力にプラスしたスキルを学生に身に付けさせて就職活動を有利に進める一助としたいという大学側の戦略もあった。
 現在、大連外国語大学のみならず、日本語教育を行う中国のいくつかの大学で日式簿記教育が行われるようになっている。それを後押ししたのが、先に触れたTAC大連による中国での日式簿記普及への取り組みであり、全経の中国での簿記検定の実施であった。
 本稿は、中国における日本式の簿記教育にかかわる関係者への聞き取り調査を踏まえながら、簿記をカリキュラムに取り入れている大連外国語大学日本語学院の教育実践を紹介した。大連は中国で全経簿記検定受検者が圧倒的に多い地域であり、大連外国語大学日本語学院はいち早く簿記をカリキュラムに取り入れて熱心に教育している大学である。この事例を通して中国における日式簿記の展開にかかわる特徴をまとめ、若干の考察を行ったものである。
   共著   北星学園大学経済学部北星論集   第57巻第2号   pp.47-64   2018/03