タナセ エリヤ
  棚瀬 江里哉   経済学部 共通部門   教授
■ 標題
  『指輪物語』におけるChrist Figure-「死」と「復活」の観点から-
■ 概要
  『指輪物語』と言う作品には死が多く出てくる。ボロミア、デネソール、サルーマンなどが主な例である。しかし、注目したいのは、実際の死にきわめて近づく瀕死、臨死もまた多いことである。エオウィン、メリー、ファラミアなどが挙げられよう。さらには、実際の死に近づいてはいなくても、いわば象徴的に死んだものとみなされる場合もある。たとえばグリマにあやつられていたときのセオデン王である。そののちガンダルフのおかげで(象徴的に)復活したが、その後(実際の)死を迎えることになる。ではガンダルフ、アラゴルン、フロドの主要登場人物たちは死とどう関わっているのだろうか。本稿ではChrist Figureを「自らの死によって他者に救いをもたらす者」ととらえた上で『指輪物語』の中にどう表れて来るかという観点から、主要登場人物3人を検討する。彼らには共通点が見られる。自らの死と復活が他者の救いと結びつく、ということである。なお、その「死と再生」は象徴的なものである場合もある。いずれにせよ、死と復活による救いをもたらす存在という、キリスト教の根本にあるイエス像を主要登場人物たちに見て取ることができ、彼らは三人ともにChrist Figureと呼ばれるにふさわしい。
(掲載部分)p27-p31
   単著   北星学園大学経済学部北星論集   北星学園大学   第45巻第2号(通巻第49号)   pp.27-31   2006/03