タカノ ショウジ
  高野 照司   文学部 英文学科   教授
■ 標題
  The Transfer of L1 Rhetoric in L2 Texts and Its Implications for Second Language Teaching
■ 概要
  この論文は外国語学習者の作文活動において、学習者の母語のレトリック(修辞法)がどのように転用され、その転用がいかにネイティブの読者の理解と評価に影響を与えるかを研究した。英語習熟度の異なる10人のアリゾナ大日本人留学生の英語作文を基に、2種類の分析を行った。1つは、日本人特有といわれる起承転結型の作文構造が英語の作文にいかに転用されているか、次に、転用されているとしたならば、そういった構造を持つ作文は英語を母語とする読者にどのように評価されるのかを検証した。第一の分析に関しては、英語の習熟度の低さと母語のレトリックの転用は必ずしも比例せず、英語習熟度の極めて高い学習者の作文にもレトリックの転用が見られ、逆に、習熟度の低い学習者の作文の中には英語らしい作文構造が見られるものもいくつかあった。母語のレトリックを転用した学習者は、英語と日本語の作文構造の違いといった事には一般に無知で、その側面の学習経験はなかった。それと対照的に、英語らしい作文構造を採用した学習者は作文構造の違いをクラスで教えられた経験を持っていた。結論として、第二言語の作文活動における母語のレトリックの転用は学習者の習熟度が決定的な要因ではなく、意識的に避けられ得るもので、習得課程での系統的な導入と学習が多大な影響を持つと言える。第二の分析にあたっては、28人の英語を母語とするアリゾナ大生を任意に選び、10人の作文を点数制で評価してもらった。比較する意味で、日本人留学生10人にも同様の事をしてもらった。予測したように、レトリックの転用が見られる作文は英語話者には極めて低く評価され、日本語話者との評価との間に統計学的に認められる差(statistically significant differences)が見られた。結論として、書き手と読み手との間のレトリックのくい違いは、その作文の理解と評価に負の要素として働き得るものであると言える。
   単著   Journal of Intensive English Studies   Center for English as a Second Language, University of Arizona   第7巻   pp.43-83   1994/03