マキタ コウイチ
  牧田 浩一   社会福祉学部 福祉心理学科   教授
■ 標題
  いじめ被害を受けた子どもの親面接過程
■ 概要
  本事例は,いじめ被害を受け不登校傾向を示す子どもの母親に対し面接を行ったものである。クライエント(以下Clと略す)に対し,隔週1回50分間の面接を2年4か月に渡り,計42回実施した。面接は子どものプレイセラピーと親面接の母子並行で行い,親面接では親役割について考えることと心理的安定を図ることを目標とした。来談初期,Clは自責感,不安を抱え,抑うつ状態だった。第1期,様々な感情がまとまらず混乱の中で,怒りの感情が強く感じられた。第2期,Clは怒りの感情によって混乱し,いじめ加害児童やその保護者,学校だけでなく,いじめ被害を受けた子どもにも怒りを向けた。自らの子どもに対する愛情を認識し,理解,支援されることを通じ,少しずつ怒りの感情を受容できるようになった。第3期,子どもに対し怒りを向けることは少なくなり,母子分離の寂しさを意識するようになった。親面接過程を通じ,子どもの成長に伴う新たな親役割を見いだせたことが母子分離につながったように思われた。①不妊治療と双生児の育児ストレスが子育てに及ぼす影響,②いじめ被害を受けた子どもの親の否定的な感情を受容すること,③いじめ被害を受けた子どもの親からの二次的外傷性ストレスの予防と親に対する心理的支援の必要性について考察を加えた。
   単著   遊戯療法学研究   日本遊戯療法学会   第18巻1号   pp.17-28   2019/08