ミヤザキ ヤスシ
  宮崎 靖士   社会福祉学部 共通部門   教授
■ 標題
  柳田国男『蝸牛考』論
―新語の創出をめぐる当事者化への試みとして―
■ 概要
  本論では、『蝸牛考』を固有の表現傾向をもつテキストとして、それにテキスト分析を施すことから、その論説の狙いを明らかにすることを試みた。まずは、全二〇節にわたる論述を節ごとに要約し、そこから、「蝸牛」の方言名称に関する調査結果からいくつかの名称の領域を確定し、その前後関係に言及していく節群と、新語が登場する要因や新語の発生・展開の具体的なプロセスに関する事柄を取り上げる節群の併存を確認した。その上で、前者に対する後者が、前者の議論を詳細なものとするための散発的かつ補足的な情報群と考えられることを論じた。しかし最終節において、それまでの論述の時系列が逆転されることから、後者の指摘内容が、新語の登場に関わる事象の反復的な現れを示すものとして意味づけ直される次第を明らかにした。そして、そのような論述が、新語の登場=創出をめぐる機構を読み手に自覚させ、自らをその当事者とすべく促すはたらきかける狙いをもつことを明らかにした。
   単著   国語国文研究   北海道大学国語国文学会   144   pp.32-44   2013/12